なんかなー。上司が迷走していて心が折れそうな毎日です。
頑張っているのにそれが理解されていない。
たとえばこれこれこういう理由でこういうことをするため残業しますって申請したのに。
こういうことができました!と報告したら、え?いつからやってたの?的な返事が返ってきた。
説明したのに理解できてなかったのか、それとも上司さんぼけちゃってるのか。
ほかにも色々あって、なんか本気でボキボキ折れてしまいました。
ということで。
中途半端だったやつよりSS作成。
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【50音で愛を囁け!】ばとんより。
う→運命の人。
「運命なんて信じているんですか」
成歩堂はそう言って唇に薄い笑みを刷いた。
仕事を終えた週末の夜。互いの家に上がりこむのはいつものことで、なんとなしにテレビをつけたら現在公開中の映画に関連するドラマがタイアップとして流れていた。
見えぬ糸に操られ、嘘と誤解からすれ違っていく恋人たちを描いた物語だ。肌寂しい頃になるとこういった恋愛が主体となる映画が多くなる。歯の浮くようなセリフは嫌いじゃない。コーヒーを片手に見ていると、隣に座る恋人が小さく首を振ったのが見えた。
「安っぽい話ですね」
「いいストーリーじゃねぇか。運命に翻弄された哀れな恋人たちの話だぜ、まるほどう」
くつくつと喉を震わせて笑った俺への返しが、冒頭の一言だった。
「運命なんて信じているんですか」
いつもは愚かなほどに人を信じぬく男なのに、俺を見やる目はひどく冷めていて。
奇妙な違和感に俺は眉を寄せた。
「どうやらコネコは運命に対し否定的なようだな」
「否定しているわけじゃありませんよ。信じられないだけです」
同じことだろう、と腹の中で思う。成歩堂が厭世めいたことを口走るのはこれが初めてで、事務所での実直で真面目すぎる姿とは対照的な表情にごくりと唾を飲んだ。
(いや、初めてじゃなかったな)
確か宗教について話した時もそうだった。自分は神など信じないと冷たい目で言った記憶がある。それから、永遠という言葉だとか、約束だとか、裏切りだとか、どれがどう成歩堂の心に触れるのか、ささいな一つ一つに対してひどい嫌悪感を示すのだ。
だから俺はそれらの単語を注意深く拾い上げて、決して成歩堂の機嫌を損ねないようにしていたのだが。
(今度の単語は『運命』ってわけか)
それは確かに苦々しい単語で内心俺もあまり好ましく思っていない。俺や成歩堂、そして綾里の者に降りかかったことを思うと、運命などというものに憎悪すら湧き上がる。
「そんな顔を、しないで下さい」
成歩堂の両手が俺の顔に伸びる。細い指先で頬のラインをたどり、乾いたくちびるを撫でた。
「ゴドーさん、泣きそうな顔をしてますよ」
もとはといえば誰が振った話題だ、と思わなくもなかったが、成歩堂の触れてくる手のひらがここちよく、また、成歩堂の方こそが今にも泣きそうな切ない顔をしていて。
「……何でもねぇ」
言葉を、飲み込む。恋人だからといって一から十まで知ろうとは思わない。俺だって成歩堂に隠し事の一つや二つあるし語ることもできねぇ過去だってある。肌を重ね唾液を交え一つにつながっても各々それぞれの思考と肉体と生きていた過去があり、それらは決して一つになることはないのだ。
佳境に入るドラマを消し、無音となった室内で俺は恋人を組み敷いた。成歩堂もまた待ち望んでいたように両腕を広げて俺を受け入れる。
「都合がいいかもしれませんが」
成歩堂は俺の首に腕をからめ、耳たぶに唇を寄せてじかに吐息を吹き込みながら言った。
「運命は信じなくても、運命の人は信じてますよ」
誰が僕の、とは言いませんけど。
俺は結局この性悪猫の意のまま。
笑みの形を取る唇を貪りながら、俺にとっても、と強く思った。
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ってことで、ゴドナルですが。
なんとなく、こんな感じ。成歩堂くんもゴドーさんも運命なんか信じてなければいい。
過去に努力して今になったのにそれが運命の中ですでに決められていたとしたら、自分の過去の努力は何だったんだって思うし色々とつらいですものね。
ということで、放置してたバトンを更新。楽しかった。
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