拍手コメントにて、素敵な妄想を頂戴しちゃったんです。
『現状に絶望しきったニットさんが、どの道利用価値のある"自分"が生きているかぎり弟達に自由はないのでは…とか考え、利用価値のなくなった"人質"が始末されずに解放される可能性に賭けて自害しようとしたり』
はい、れっつ妄想たーいむvvです。
* * *
自分でも馬鹿な考えに取り付かれてしまったと、思わないでもない。
けれども、こうすることが一番いいような気がした。
(この僕に、利用価値がある限り――)
ゴドーさんは僕を、僕の弟たちを開放しないだろう。否、仮に彼が満足して僕たちを手放したとしても、第二第三のゴドーさんが現れない可能性は少ない。
僕の狙撃の腕前は《裏》に知れ渡っている。それこそ、ゴドーさんの組織に付いて《仕事》をしてしまったのだから、自由になった僕を違う組織の人間がヒットマンとして欲しがらないはずがない。
(だけど、僕がいなかったら?)
弟たちを人質と捕らえるのは、あくまで僕の協力を求めるためだ。それなら逆に、僕がいなければ、弟たちには何の意味もない。
「最初っから、そうしていればよかった」
僕はあてがわれた部屋の豪奢な絨毯に座り込み、手になじんだ愛銃に指をからめた。
(僕さえ、いなければ)
開放された弟たちは《表》の世界に戻り、ここであったことなど忘れて幸せになれるだろう。
そう、僕が側にいなくても、彼らは日の当たる場所で生きていくことができるのだ。
(みんな、幸せになれる、かもしれないんだ)
僕が死んでも、弟たちが開放されるとは限らない。そんなのは分かっている。けれど、僕は正直疲れていた。愛してもいない男に抱かれて、言われるがままに人を殺して、屈辱という汚泥の中でのたうち回ることに。だから、賭けかもしれないけれど、これで弟たちが自由になれるかもしれないと思って。
「呑田さん、僕を嫌わないで」
あなたのお兄さんを殺してしまったけれど。あなた以外の人に抱かれたけれど。あなたのいましめを破ってしまったけれど。
「許して、くれますか」
重い手をのろのろと持ち上げて、自分のこめかみに銃口を当てる。ひやりと、冷たい感触が肌に伝わる。
引き金を引けば、僕は脳髄を撒き散らして全てを終えることができる。それはどんなに幸せだろう。自ら命を絶った僕をあの人は抱きしめてくれないかもしれない。それでも、冥府であの人とまた会えること。それから弟たちを自由にできること。僕自身もまた自由になれること。それらが悪魔の誘惑のように理性を鈍らせる。
「成歩堂っ!」
指に力を込めようとした瞬間、鋭い声とともに銃声が響き。
銃身に激しい衝撃が加わって、僕の手から拳銃が零れ落ちた。
驚きに視線を向けると、そこにはゴドーさんの姿があった。いつもの、マフィアのボスらしく、堂々とした品格ある立ち姿。ゴドーさんはゆっくりと僕のもとへ足をすすめ。その大きな手のひらでグイと僕の顔を上げさせ、硝煙臭い銃口を首筋に押し付けた。
「死ぬなんて甘えが許されると思っていたのかい、まるほどう」
「……ゴ、ドーさ」
「それとも、アンタが死んじまえば、弟たちを解放してもらえるとでも? そんなわけねぇだろう、コネコに似て器量良しの弟たちだ、どこに出しても商品価値がある。アンタが死という贖いでこの俺から逃げるってんなら、金をはずんでくれるどこぞの好色変態ジジィに売り払っちゃうぜ?」
この人は、どこまで卑怯なのだろう。そんな風に言われれば、僕には死を選ぶこともできなくなる。愛する弟たち、せめて彼らだけでも生きて幸せにと願っても、ゴドーさんはそれすら許してくれないのだ。
(僕はもう、どうすることも)
どうすることも、できない。
* * *
なんて、SS作っちゃいましたv
いや、えーと、拍手コメントより素敵なネタをいただいちゃいましたので。
まだ何も決まっていない手探り状態ながら、そんなのもいいなぁvと思いまして。
最後の、顔をぐいんと持ち上げて首に銃を当ててるのは、Rさまのイメージ図に刺激されちゃいましたv
うふふ、楽しいですv やばいですvv
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