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逆転裁判。
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長くなってしまったので、前後に分けたバトン回答です。
むしろこれSSだろう的なノリ。いいのかな、こんなバトン回答。

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〓【同棲バトン】〓(お話調で)
続き。


◆天気は雨。部屋の中で呑田さんと二人っきり。何して過ごす?

雨の日の空気は好きだ。冷たくて、湿っていて。ほんの少し、あったかくて。
「だからって、傘を持ち歩かない主義はやめろよな」
呑田さんは開けっ放しにしていた窓をぴしゃりと閉めると、出かけるならビニール傘貸すぞと言った。
「出かけないよ、せっかく呑田さんと二人っきりなんだし。なんだか、こんな風にしてると、雨に閉じ込められて世界に僕らだけしかいない感じしません?」
ソファに座って足を組む呑田さん。その長い足をいいなぁと思いながら、僕は手にしている新聞が気になって、背後に回って覗き込んだ。
見ていたのはテレビ欄で、特に面白い番組が見つからなかったのか、呑田さんはくるくると丸めると後ろの僕をたたいた。
「ばーか、変なこと言うなよ。つか、暇だな。……龍一、何か芸しろ」
「呑田さん、何僕に求めてんのさ」
軽くたたかれた額は痛くなかったけど、わざと顔をしかめてスリスリと手のひらでこする。
「芸人目指してたんだろ、シェークスピアの。この間やったハムレット、好評だったじゃねぇか」
呑田さんは背もたれに腕をひっかけて振り返ると、ニヤリと人の悪い笑みを浮かべた。上演が始まるまでテンパって涙まじりに呑田さんへ頼ってきたヘタレ姿を思い出しているに違いない。
「芸人と俳優は違うもん」
唇をとがらせてすねてみせると、人差し指と親指がぎゅっとつまんでくる。言葉を封じられて視線を向けると、呑田さんはさらに笑みを深めた。
「感動を生むってんなら、おんなじだろ。俺だって、アンタのハムレット、感動しちゃったぜ」
だから、芸しろ。暇だ。ワガママな呑田さんは、その笑顔にくらくらしちゃう僕に短く命令した。

◆呑田さんが膝枕を要求してきました。さて貴方はどうする?

シェークスピアの言い回しは独特だ。だから、呑田さんが眠くなっちゃっても仕方がないと思う。
でも、膝枕しろだなんて、ずるい。僕だって、呑田さんに膝枕されたいのに。
「あとで交代してやるから」
そう言って、呑田さんは僕のふとももに頭を乗せてきた。ソファの端っこに座る僕。ソファに横たわる呑田さん。
閉じた瞳。結ばれた唇。額から流れる髪。表情が消えた顔は、その造形の美しさを雄弁に伝えてくる。
眠りに落ちてしまったのだろう、頭がちょっと重くて。僕は置き具合を変えようとそっと指を伸ばす。
「ん、龍一……」
「な、なぁに?」
後ろめたいことなんて何もしていないのに、ドキリと胸が弾んで、僕はかすれた声で返した。
でも呑田さんは長いまつげを震えさせただけで、言葉を続ける気配はない。
なんだ寝言かと安心して、そして、夢の中に出演している僕にちょっとだけ嫉妬して。
「Love looks not with the eyes, but with the mind……」
なぜだか不意にヘレナのセリフが頭をよぎって。
僕は雨よりも湿ったため息を吐いた。

◆呑田さんが一緒にお風呂に入ろうと言いました。どうしましょう?

目を覚ました呑田さんは、クンと鼻を鳴らして汗くせぇと眉を寄せた。
「悪い夢見てたんだと思うけど、呑田さんうなされてたんだ。だからその寝汗だよ」
「うなされていた段階で起こせよ、龍一」
ベタつくと言いながら呑田さんは服を脱ぐ。シャツの下に何もつけていなかった呑田さんは、惜しげもなく上半身裸になって、乱れた髪の毛を手で整えた。
研究室にこもりっぱなしなのに、その身体は無駄な肉がなくて綺麗だった。さすがに日に焼けることが少ないせいか、色は白くてどこか薄い。同性の裸を見たことがないなんて言わないけれど、友人たちのソレよりもどこかまぶしくて、僕は目を細める。
呑田さんはさっさとリビングを出て行くと、すぐにまた戻ってきて僕の手を引いた。
「風呂入るぞ、龍一。アンタも一緒に入れ、俺の匂いがすげぇするぞ」
汗くせぇ、ともう一度言い放たれ、僕は袖口を近づけてクンと鼻を鳴らした。
「そうかな、特に匂いなんてないけど。それに僕、呑田さんの匂い好きだから、このままで」
「……風呂入りゃ、もっと俺の匂いになれるぜ。一緒の石けんに一緒のシャンプー、一緒の整髪剤。んで、俺」
両手上げろ、と言われて、素直に手を挙げると、呑田さんは子供を相手にしているように服を脱がせてくる。
「移り香よりも俺の匂いにまみれちゃうぜ。嫌か、龍一」
そんなことないと首を振ると、よくできたと笑って僕の背中をたたいた。
「じゃあ一緒に入るぞ。ガス代もばかにならねぇんだ」
さっさと衣類を脱ぎ捨てると、呑田さんは全裸になってバスルームへ向かった。引き締まった腰から続くヒップに釘付けになって、僕は慌てて視線を落とした。
「なんだろう、僕、変だ。ドキドキ、する」
頭に焼き付いた裸体が消えなくて、僕はぎゅっとまぶたを閉じた。

◆風呂上がり。呑田さんの髪が濡れたままです。乾かしてと頼まれました。さてどうする?

「熱ぃよ、龍一。スイッチ切れ!」
髪を乾かせと言われてドライヤーを渡されたものの。そんなおしゃれ道具なんて使ったことのない僕は、呑田さんに頭ごなしに怒られてしょぼんと肩を落とした。
「ごめ、ごめんなさうぁあああんっ」
呑田さんに怒られた。嫌われる。そんな風に思って、心の中が真っ白になって、涙が吹き出てしまう。
「あぁ、もういい。龍一、ココ座れ」
ソファに座った呑田さん。その足下に座れとうながされて、僕はエグエグと嗚咽を漏らしながら腰を下ろした。
「背中、こっちだ。ソファにもたれるようにしろ」
呑田さんの両足に挟まれる形で背中を向けると、濡れてべたりと垂れた僕の髪の毛に温かな風が当たった。
「俺のはストレートだからほっときゃ乾くだろ。それよりも、アンタの髪、濡れたまんまだと別人みたいだぜ。……尖ってねぇ龍一の頭見んの、初めてだな」
風を当てながら、呑田さんの手が髪をすく。頭皮に触れてくる指先を感じながら、僕はうっとりと目を閉じた。
どこかで時計の音が聞こえる。チクチクと時を刻む音。トトト、と、聞こえるのは僕の鼓動。時計よりも早い、僕の心臓の、音。
「寝てんな、ばーか」
ぱしんと頭をたたかれる。乾燥終了、と立ち上がった呑田さんは、ドライヤーのコンセントを本体にぐるぐると巻き付けた。片付けにいく背中を見送って、僕は自分の髪に手を伸ばす。
「明日も、乾かしてくれるかなぁ」
半乾きのそこは少し湿っていたけどあたたかくて。
でも、呑田さんの手はもっとあったかかったと思った。



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あれ? 前後でおさまらなかった。
やばいっす。もう一回追加。てか、調子に乗りすぎ。私。

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